私は、日本の大学学部卒業後、約4年の社会人経験を経て2023年9月からイギリスの大学院修士課程に進学しています。20代後半、社会人5年目での留学の感想を振り返りたく記事を書きました。
海外大学院進学に関しては他にもいくつか記事を書いています。
4年にわたる私の海外大学院受験歴まとめ
2年前の海外院進vs就活決断をふりかえってみる
簡単な背景
・2023年夏からイギリスで文系の修士在籍中(MScですが国際開発系なのでわかりやすく文系と表しています)
・進学前は国内外で働いた経験あり(専攻に関連する職務経験を含む)
・修士はいつか進学しようとしていたため、学部卒業後直接院進も検討していた
・本当は数年前に進学予定であったが、コロナ禍や仕事の都合で思いがけず進学が先延ばしになり今年進学。(詳しくはこの記事にて: 4年にわたる私の海外大学院受験歴まとめ)
・進学理由としては国際開発業界で働くため(修士ほぼ必須な業界)
・配偶者、家族等おらず単身での渡航
・卒業後の進路は未定なものの日本への帰国を考え中(当初はイギリス就職も視野に入れていたため別記事を執筆予定)
以下は、あくまで私個人の感想ということを念頭において読んでいただけたらと思います。
立場や状況、キャリアetc.踏まえて、あくまで私の場合はこうでしたという感想です
社会人修士の感想
社会人経験積んでから修士して大正解!特に実際に関連職歴を積んだあと修士できてよかった!というのが私の今までのイギリス修士のひとこと感想です。
私の場合キャリア設計上修士をとらないという選択肢はなかったので、修士に進んだことそのものについての感想はないのですが、学部卒業後すぐ修士進学する選択肢と比べると、あるいは関連職歴である国際開発の業務に携わっていない状態での社会人修士と比べると、今このタイミングで修士進学できてよかったなと思います。
大学や専攻、年によってもかなり変わると思いますが、私の場合同じ専攻の同級生の大多数は世界各国からの留学生で、そのほとんどが関連職歴を持っています。年齢層も幅広く、その道で10年以上のキャリアがあり子供を含めた家族帯同できている同級生も珍しくありません。ただ、日本人に関してはほとんどが大学学部卒業後そのまま修士に来たパターンが多いです。(大学、学部、そして年々でかわるようです)
社会人修士のメリット (学部後即修士と比べて)
・授業で習っていることと経験が結びつく → 理解が深まる/深い議論or議論に貢献できる/レポートの質があがる(?)
キャリア方向転換系のための修士の場合当てはまらないかもしれないですが、専攻に関連する職歴を持っている場合、授業の納得度や理解度、解像度が社会人経験の有無でかなり変わると思います。例えば私はアフリカで働いていたので、授業でアフリカの経済発展が進まない理由を聞かれたときに知識としてではなく経験から賄賂の問題などを話したり、理解することができます。たかだか1年の現場経験ですが、おそらくこの現場経験を積む前に院進していたら同じ社会人修士留学でも全く別物な経験になったと思います。
・やりたいことを完全明確にしてから進学できる
私は学部の時点からapplyする修士の専攻を複数回変えており(再掲: 4年にわたる私の海外大学院受験歴まとめ)、現在在籍している修士も現場での経験を経て専攻を変えるにいたりました。結果として、授業内容などに本当に満足しており、あのとき専攻を変えていてよかったと心から感じています。私の学部時点ではこの専攻は全っっっく視野に入っていなかったので、社会人経験を経て自分がやりたいこと、そこから何を学ぶ必要があるかを導きだせたのはメリットだと感じています。学部時点から自分がやりたいことが超明確にある場合は関係ないかもしれないですが。
・就活が(比較的)楽
※私はまだ実際に就活(転職)をおこなっていません
就活に関してはビザも絡むためバックグランドによるところもあるため、ここでは主に日本で就活をする人について書いています。
学部後そのまま院進した場合、院卒後の就活はいわゆる新卒就活となります。何をしてきて何ができるかという経験をみられるイギリス(というか日本以外)の特性上、新卒就活をする日本人留学生のほとんどは卒業後は日本に帰る前提の就活をすることが多いようです。
日本で新卒就活となると大学を通じてセミナーやイベントがあったり至れり尽くせりですが、イギリス就活とは異なるためイギリスの大学ではそういった情報がゲットできません。
また、個人的にはこの院卒後の就活でゲットした仕事が合わなかった場合、学部卒なら転職以外に修士進学という手がありますが、修士卒業での就活だとその手が使えないというのも修士新卒就活のデメリットかなと思います。
社会人修士での就活の場合、経験に重きを置くイギリス就活に新卒就活の人たちと比べると遥かにチャンスがあると思います。とはいえかなーり狭き門のようですが。
また、就活というよりも転職活動なので、未知のものに取り組むという感じではないというのは大きな利点だと思います。
・大人である- メンタルが(比較的)安定している/問題解決/生活能力
なんやかかんやいって自国とはいろいろ違う海外生活、そして外国語での勉学、迫り来るレポートやプレゼンのプレッシャーetc. ストレスが溜まりやすい環境であり鬱っぽくなる人がいるのも事実です。これも完全人による&個人的な意見ですが、社会人経験を経ていろんなことを経験している分メンタルも鍛えられいたり、年を重ねて自分の操縦方法がわかっている分、学部から直で院進した場合と比べて少しのことでは動じなかったりとメンタルを安定させて乗り切れている気がします。
また、問題に直面した場合に助けを求められたり、共有フラットでうまく立ち回れたりと、社会人というか人生経験を積んだが故に乗り越えられていると感じる場面もあります。まとめると、社会人という側面だけではなくいろんな意味で経験を積んで大人になったが故に楽に乗り越えられている部分はあるのかなと思います。失敗をおそれないとか、割り切る力とか、コミュ力とか。
・タスク処理
仕事と比べての学業の大変さetcは前職にもよるかと思いますが、スケジュール管理やタスク処理など大学院生活で求められるスキルで仕事全般に共通するスキルは割とあると感じていて、社会人経験があるからこそ直接院進の場合と比べて効率的に作業を進められている部分もあるのではないかと思います。
社会人修士のデメリット (学部後即終始進学と比べて)
・アカデミアのカンを取り戻す必要がある
仕事で英語レポートなども執筆していましたが、学生生活で求められるレポートとは構成や単語のチョイス、形式が違うため、これらのカンを思い出すのに少し時間を要しました。授業を聞いて、復習してという流れなども共通項もありますが新鮮でした。
学部からそのまま院進していたらこの点はで引っ掛からなかったのかなと思います。
・口座残高が減っていく覚悟
社費留学、奨学金、親等の出資がある場合を除き、自費留学場合、毎月給与が口座に入ってきた社会人時代とは変わり、お金が口座から抜けていく感覚になれる必要があります。
学部から直院進パターンの多くは親出資かつ毎月一定の給与を得るという経験もしていないため、このギャップは社会人修士者の方が大きいと思います。
(・プライベートとの兼ね合い)
実際に私が経験していることというよりも、見聞きしたことに基づく点です。
結婚や妊娠などのライフプランが多くおこる年代での海外院進の場合、例えば日本にいるパートナーと同棲などの関係を進めるのが遅れる、パートナーと離れて暮らさないといけないから妊活ができない、といったプライベート関連のデメリットは起こり得るかなと思いました。
(・日本人コミュニティでの交友関係)
これも私が実際に経験しているというより考えられる可能性&状況によるという点です。
今の私の立場のように、同じ専攻の日本人院生のほとんどが学部から直接院進しているパターンの場合、私がもう少し年齢が上で例えば年齢差が10歳あるとかだったら、日本人内で交友関係を持つのが難しかったりするのかなと考えたりもしました。もちろん友人を作るのに年齢は関係ないですし、日本人にこだわる必要は全くないですが例えば就職についてなど日本の文脈が必要な会話において、新卒就活とは立場が違うためなかなか悩みなどを相談しても真に理解してもらうのは難しかったりするかもしれません。
以上が入学して半年ほどが経った私の社会人修士の感想ですが、総じて今のところ私は社会人経験を積んでの修士に満足しています。
社会人経験ある目線からみた学部から直接進学のメリット等についても記事にできたらと思っています。