大学院

社会人イギリス大学院進学 秋学期振り返り

2023年秋からイギリスの大学修士号課程に進学した私の秋学期を振り返ってみました。

私に関する関連背景知識: 学部時代にオランダで交換留学、その後国内外で社会人経験を経た20代後半。会社の派遣(社費留学)等ではなく完全私費留学。帯同などはない単身での留学。イギリスを楽しむというよりも目的は専門知識の習得なので学業優先。

基本的に、イギリス大学院の1年は秋学期(9月頃-12月頃)、春学期(1月頃-5月頃)、論文執筆時期(5月頃-8月頃)の3学期制となっていて、今回はそのなかで秋学期について振り返りたいと思います。
大学やコースごとによって異なる点は多々あると思うので、あくまで私が経験した、個人の感想を書き綴っています。

全体感想

一言でいうと、一瞬でした。
忙しいし、あっという間だと聞いていた通り、嵐のように過ぎ去っていきました。
コースメイトや他のコースの友人からも同じような感想を聞くので概ねイギリス修士の一般論かと思います。
基本的に図書館にいるか、(休暇中は)課題するか旅行するかの秋学期でした。

9月 中旬頃イギリス到着。生活に慣れる時期。シェアの寮がトラブル続きでストレス
10月 授業が本格始動。学校生活に慣れる時期。気候があわないのかずっと風邪気味で苦しんだ。
11月 中間課題に取り組んだ時期。どんどん暗く&寒くなり鬱々とする。reading weekと呼ばれる一瞬の休みで久々にホッと一息つけた感覚になる。
12月 中旬にて授業がおわり、休暇に入る。とはいえ課題のために毎日朝から晩まで図書館に篭る日々でストレスフルだった時期。年末はイギリス国外旅行に。
1月 図書館に住む勢いで課題をやる日々。課題提出後、自由時間で何をしたら良いかわからなくなった。スペイン旅行に繰り出し、その後春学期スタート。

学業

社会人生活からの久々の学生生活で、最初はリズムをつかんだりするのに少し慣れが必要でした。また、学部時代の専攻や職務経験とも異なる分野を専攻していて、日本語で調べても初耳の概念や単語と格闘する必要がありました。

授業は3科目履修しており、それに加えて1科目聴講していました。
私は実践的なことが学びたかったので、それに合わせた科目をとっていましたが、関心があるジェンダーに関する科目がありそれは学びたかったので聴講していました。
(大学やコース、また担当教授によってもルールは違うかと思いますが、この授業は聴講OKでした。4科目履修することも制度的に可能でしたが、ものすごく大変なのでお勧めしないと大学からも言われましたし、実際4科目分の予習復習に課題をこなすのはかなり大変だったと思います)

3科目といっても週に3コマだけあるわけではなく、ディスカッションや発表ベースのセミナーや、統計ソフトウェアを扱う授業なども不定期であり、聴講を除いても週に4-5コマはありました。
というとあまり忙しくなさそうですが、予習や復習そしてセミナーの準備などに追われていると気づいたら一週間が過ぎていました。
大学が開催している英語クラスもあり最初は参加していたものの忙しさのあまり途中から行かなく(行けなく)なりました。

科目の評価方法は基本的に学期末にレポートを出す形式で、科目によりますが1週目の段階でレポートのテーマが発表されていたりするのは日本とも、留学していたオランダ学部とも違う形式で驚きました。(イギリスも学部と修士で評価方法が違うようです)

やろうと思えば、提示されているテーマに関する授業だけ聞いて(あるいは聞かずに)レポートさえ書ければ、他のテーマについては全く学ぶ必要がなくともパスできるというのが、日本やオランダで経験したどんな質問がでるかわからないテストに備えて授業を包括的に学ぶというのとは違う点だと感じました。

イギリス修士-学業について良かった点

・授業の内容が基本的に面白く、学びも多く、この専攻を選んでよかったと感じることが多かった
・教授がやる気もある良い人が多く、質問には全力で答えてくれるし、supportive
・(自分の専攻に関しては)コースメイトが皆真面目でやる気もあり、授業や課題にしっかり取り組んでいて話していて勉強になる

イギリス修士-学業について悪かった点

・授業によっては、様々な専攻の人が混じる大人数授業で、グループ課題なのに完全にフリーライドしようとする人がいたり、毎回授業中に個人的かつ的外れな質問を延々にし続けたりする人がいたりと学びが阻害されると感じることがあった
・とにかく早く進むので、自分がしっかり学習できているのか不安になる(現在進行形)
入学3か月くらいで卒論について考え始める必要があり自分の専攻や研究課題をあまりわかっていないままに卒論について考える必要がある

イギリス修士-学業について頑張った点

・(当たり前ですが)予習復習は怠らなかった。というか授業によっては予習なしで臨むのと全くわからなくなるため授業を理解するために必須だった。ただ、予習のためにおすすめされるreading(論文や教科書)を全部しっかり読むということは私の読むスピード等を考えるとほぼ不可能だったのでそれぞれの授業に合わせた簡易的な予習方法になりました。

イギリス修士-学業について反省点

授業中にあまり発言および質問できなかったという点が一番の反省点です。
その背景として2点あり、1点目は、そもそも質問が思い浮かぶような授業の聞き方をできていなかったという点です。講義を咀嚼することにエネルギーが取られ、WHY? 思考で授業を聞けなかったという点が反省点です。2点目は、人前での発言に躊躇してしまったという点です。仮に質問や授業中問われたことに対して発言を思いついても、臆して発言できなかったという点です。たまに質問したいことがあっても授業中ではなく授業後に教授と一対一の状況で質問したり、少人数でのディスカッションでは問題なく自分の意見を伝えられたりすることから、英語のスピーキングに対する自信のなさ故の、多くの人の前での発言することへの苦手意識なのだと思います。

生活

※過去に学部留学もして、イギリスの前はアフリカで社会人をしていたので一般的な感覚とはずれている可能性があります。

イギリスの生活そのものについて困ることはあまりなかったです。日本と比べて不便を感じたりツッコミどころがあることがあっても、イギリスの前がアフリカ生活だったということもあり、「さすが先進国、ないものがない!)」というのが到着すぐの感想でした。(注:イギリスでも手に入りにくいものはあります 笑)
ほとんど全てのスーパーで豆腐やちょっとしたアジア食品は売っていて、アジア食品店に行ったら日本と比べて高いとはいえ、品揃え悪い日本のスーパーより商品揃っていると感動さえしました。(アフリカで味噌、豆腐、納豆は大豆から作る世界を経験した人の目線です)

留学当初はアルバイトをするかどうかも迷っていたのですが、周りの話を聞いているとアルバイトを見つけるのがなかなか難しそうで、そして既に生活がまぁまぁ忙しいこと、留学における優先事項が学業であることなどを総合的に判断して私はアルバイトは特にやっていません。目的が英語力向上や現地の生活をしたい、お金を稼ぎたいということであればアルバイト探しに時間を費やしてでもアルバイトを始めたかもしれません。

生活に関して大変だったのが、寮(フラット)生活です。
私は自分の個室はあるものの、シャワー、トイレ、キッチンを男女混合でシェアするタイプの大学の寮で暮らしているのですが、世界各国からきたフラットメイト(※ルームメイトならぬ寮をシェアする人たち)の衛生観念やもろもろの感覚に慣れたり、こちらの要望をお願いしたりすることが結構ストレスになりました。

周りの話を聞くと、大なり小なりシェアフラットストレスやちょっとした事件は経験しているようなのですが、私のフラットは周りと比べても割と大変なケースだったようです。かいつまんで間接的に私のストレスフル寮ライフをお伝えすると;
・フラットメイトが毎日大量の友人を呼んで、深夜まで大音量で音楽を流しながらのパーティー開催
・トイレは、前の人の分を流すことから始まるので流れているだけで幸せを感じる
・ゴミ(自分がいらないもの)は床に落とすのではなくゴミ箱に捨てて欲しいと再三のお願い
・電子レンジは回転皿に直接食べものを置くものではなく、お皿に食べ物を置いて使うものでだと説明
・料理をしたあとは全てが放置されるので、こぼれた液体、粉etc. が掃除されることなくそのまま放置される

休まるはずの家が、休まるどころかストレスの根源だった時期はなかなか大変でした。
学部の交換留学は全くシェアしないタイプの1人暮らしの寮だったのですが、学部時代にこの環境の寮に住んでいたらおそらくかなり早い段階で引っ越していたと思います。

あと(おそらくセントラルヒーティングのせいで)乾燥にやられてイギリスが寒くなってからしばらく体調不良が続いていたのはしんどかったです。熱までいかなかったので授業などに支障はなかったですが、全体的にパフォーマンスがさがりますしシンプルに体もつらかったです。

英語について

背景として私の英語力はIELTS OA7.5で、幼少期一瞬英語圏に住んでいたりしたこともあってリスニングはある程度でき、海外で英語を使って働いていたこともありある程度の英語はできます。

英語での学業に関しては、教授の英語がわからないということは、教授が非ネイティブで強いアクセントがある場合を除き基本的にはなかったです。
(単語がわからないということはたまにありました)

英語の技能のなかでスピーキングに苦手意識があることから授業中のディスカッションの際に私が言っていることがちゃんと伝わっているかなどはよく不安になって確認しました。
また、修士は予習やレポートを書くために圧倒的に論文などを読む機会が多いのに、英語論文となると全然頭に入ってこないことが多く(単語もわかり、文法もわかるのに不思議と内容がはいってこない)、日本語に翻訳した文章だと一瞬で理解できる差なども含めてネイティブとして英語読めたらなとはよく思いました。
例えばBBCの英語記事などはたまにわからない単語に出会うことはあっても内容が頭に入ってこないということはよっぽど知らないトピックでない限りないのですが、なぜか英語論文になるととたんに頭に入ってこず現在進行形で苦労しています。読めないというわけではなく、時間がかかります。

英語で書くことについては、英語そのものというよりもレポート執筆のアカデミックライティングという点で苦労しました。今は文法修正サイトなど様々な便利な機能があるので書くことそのものについてはある一定はできるのですが、アカデミックライティングとなると言い回しやパラグラフライティングなどただ英語を書くとは違ったスキルが必要なのでその点が難しかったです。

日常生活で英語に関してめちゃ困るということはなかったのですが、私が住んでいる地域はイギリスの少し地方なのですが、バスの運転手さんや店員さんなどが話す強いローカルアクセントの英語は、たまに英語のはずなのに全くわからないということがありました。普段ならわからないはずがない、When is your birthday? が全くわからず何回か聞き返した時は一周まわって面白かったです。(普段、リスニングに関して困ったことはあまりないです)

私の防備力も兼ねてイギリスの秋学期を振り返ってみました。
現在進行形で春学期も頑張っていきたいと思います。