note でいろいろ書いていた頃からしばし時間が経ち、私は今、アフリカ某国で国連ボランティア(UNV)、厳密にはInternational UN Youth Volunteerとして某国連機関で働いています。
国連ボランティアとはなんぞや、ということについては別記事を書こうと思っていますが、基本的にはボランティアと名はつきますが給料が支払われるいち国連職員のようなポジションです。(厳密にいうと国連職員ではないらしい)
2020年から進学を延期していた大学院に関しても、完全にオフライン(クラス授業)となった今年こそ進学しようと授業料デポジットも払い、ビザも申請していたのにまさかの行き先を変えてのアフリカとなりました。
今回は国連ボランティアになるまでの流れを書き綴ってみました。
やりとりのメール等を見返してあえて詳細な日程感を書いていますが、あくまで私のケースであり全てがこのペースで進むわけではないのでご留意ください。
目次
背景
元々私は国際開発分野に関心があり、JPOを試験合格を当面の目標としていて、deferを繰り返していた大学院の専攻が開発関係ということもあり、学びを深める意味でも院卒後の就活を見据えた上でも開発の実務に携わってから大学院に行けたらいいなとは漠然と昔から考えていました。
実際、転職活動ではJICAや国際NGOの海外ポジションも応募要件満たしていないながらも応募しましたがほぼ通らず、あるいは給与等の条件が合わず、コロナ禍ということもあり今までいわゆる途上国での実務経験を行う機会には恵まれていませんでした。
私は国連機関の情報集取のために、外務省国際機関人事センターなどのSNSなどをフォローしているのですが、そこで珍しく私の関心事項であるジェンダー関係&修士号なしでも応募できるポジションを見かけました。ただ、既に大学院進学のために授業料デポジットも払っているため今はタイミングが悪いなと一度スルーしました。
その後、数週間後にまた別の場所で同じポジションを見つけて、「まだ募集しているんだ!」 と興味が湧くとともに、そもそも国連関係のポジションは合格率が低いし、仮に合格しなくても応募プロセスを経験して運良く面接までいければそれで面接経験も得られるし、仮に合格したとしても大学院は一応deferもできると思い応募することを決意しました。
締め切りギリギリだったこともあり、「受かったらラッキー」ベースでの応募でした。
ものすごく頑張って準備したわけではない記憶です。普段こういった英語での応募書類を出すときは英語ネイティブの友人に必ずネイティブチェックをお願いしますが、今回はこれさえお願いしなかったです。
応募ステップ
受け入れ機関や国、状況によっても異なると思いますが私の場合は以下のような流れで採用プロセスが進みました。
1) UNVウェブサイトにて当該ポジションの応募
求人を見かけた投稿の、応募はここをクリックと書かれていたところをクリックしてたどり着いたUNVウェブサイトから、学歴や職歴等を個人プロフィールとして登録し、それに加えてポジションへのmotivation letterというよりは短い応募動機みたいなものを送りました。締切りが2-3日後に迫っていたため、求人を見たその日にこのプロセスを終えました。
私が実際に送ったmotivation letterの文章は別途ブログを作成予定です。
応募直後に自動返信で応募受付しましたメール、応募10日後に自動返信でstatus updateと称して-applicationがきちんとpurocessされています、-ショートリストされた人のみ連絡が行きます、-ショートリストされた場合Competency Based Interview を行うのでこの面接についてきちんと対策しといてね、という旨が記載されたメールが来ました。
2) 面接
国連機関の応募プロセスは下手すると半年/1年かかることもあると聞いていましたが、私の場合1)の応募日から数えて15日後に担当者からメールが来て私がショートリストされたこと、2日後(!! 二度見しました)にオンライン面接を予定しているが参加可能かを問い合わせるメールが来ました。
仕事もしているので準備期間がほぼないながら急いでCompetency Based Interview対策を行いました。(この対策についても別途ブログを書く予定です)
1)の応募日から数えると17日後に迎えた面接は、オンライン面接で、面接時間として指定された時間の30分ほど前からミーティングの場所に入っておくように指定されたので開始されるのを緊張しながら待機しました。
だいたい指定された時間から始まった面接は、UNV担当者と受け入れ機関の担当者、合計5人くらい 対 私 で30分程度の面接でした。
相手方は自己紹介のときだけカメラオン、そのあとはカメラオフとなり私のみカメラオンで、コンピューターの画面上に映る自分を見ながら面接を行うというシュールな感じでした。
面接後の手応えは うーーん という感じでした。
準備した質問もかなりされましたが、全く準備していない「それを聞くのか!」という質問、答えに窮していろいろ聞き返した質問もあり、準備期間短い中頑張って準備したけれどもっとできたかなーという感じでした。
手応えがめちゃめちゃあったわけではなく、爆死という感じでもなく。。。
具体的な質問内容等は別ブログ記事をお待ちください。
3)合格連絡
面接から4日語、1)の応募から数えて21日後、私が合格したというメールを担当者から受け取りました。ただしその時点から5週間後に渡航して業務開始が条件で、いろいろな事情から1ヶ月伸ばせないか交渉しましたが交渉の余地なく、少し考える時間が欲しいと交渉して3日(!! 二度見しました、again)もらい、結局5週間後に赴任という条件を飲んで内定受け入れ?を行いました。1)の応募日から24日後のことでした。
内定受け入れた後、パスポートの写真をあげるなど様々な手続きの案内が書かれたメールがUNVシステムより来ました。
その後、UNVおよび海外移住の諸手続きを半泣きになりながら行い、内定受け入れから1ヶ月と少し後、つまり1)の応募日から2ヶ月たたないうちに渡航し、応募日からちょうど2ヶ月後に業務を開始しました。
合格理由 自己分析
国連のポジションはUNVであれ倍率が高いという認識だったので正直ショートリストされたことも、合格したことも驚きでした。
なぜ私が受かったのか、明確な答えを人事担当者に聞いたわけではなく、私の他に何人候補者がいたのかなど全く知らないですが、合格理由を自己分析してみようと思います。
1)日本人限定ポジションだった
絶対的に大きいのはこれです。UNVも様々なタイプがあるのですが、私が応募したのは日本人限定ポジションでした。その国がドナーとなっているプロジェクトなど、ポジションによっては〜国籍限定、というものがあります。
これは募集時点でオープンになっており、おそらく日本人限定ポジションではなく全世界中の応募者と戦う必要があった場合私が受かった確率は低いのではないかと思います。
2 )ニッチな経験がマッチしていた
募集要項には結構具体的に求めている経験が書かれています。この応募要件全てを満たしている人なんているわけないというような、要件もりもりのconditionですが、要件を一部抜き出すと以下のようでした。
2 years of experience in Development programme/project implementation, coordination, monitoring and evaluation and coordinating and liaising with government agencies and/or donors.
単にジェンダー系の経験がある、だけではなく少しニッチな(?)liaising with government agenciesといった経験が偶然あり、こういった点も評価されたのではないかと仕事を始め て思いました。
3)人が集まらなかった(?)
これは憶測の域を出ないのですが、私のポジションは本当はもう少し前に埋まるはずがなかなか埋まらなかったようです。
これが、そもそも応募する人がいなかったのか、応募する人はいても要件を満たす人がいなかったのは定かではないですが、私が一度募集要項を見てその数週間後に再び別の場所で募集広告を目にするくらいには埋まらなかったと考えて良いと思います。
そのため受かりやすかった(?) のではと思います。
4)(振り返ると)準備ができていた
応募書類の一環で、英語のCVなどを上げる必要がありましたが、私は以前の転職活動でネイティブチェックまで済んだCVを作成し、そのあとも機会があればアップデートしていたので手間なくアップロードできました。応募締切日が迫っている中CV作りを一から行う必要があれば締め切りに間に合わなかったかもしれません。
また、面接は英語で、私はペラペラではなく特にスピーキングに苦手意識はありますが、前職のworking languageが英語と日本語だったので英語は日常的に話しており、久しぶりに話す英語のカンを取り戻す、というような作業をする必要がなかったのは2日後!!に面接を指定された日程感において役立ったと思います。やはり言語は話さないと忘れるので普段から英語を使う(話す)環境にいたというのはふりかえるとありがたかったと思います。
5)いろんな意味で運が良かった
運って何それって感じですが、こと国連機関の就活は運は大きいように思います。
修士等の要件満たしていないものの、参考までにここ数年いろんな空席情報を追っている私ですが、こんなバッチリと私に合う求人を見たのは初めてでした。
私に合う、というのはそもそもの国籍、年齢、そして言語(フランス語やスペイン語ではない)、学歴(修士号なしで応募可)、職務経験を満たしているという意味です。自分に合う求人がでるかが完全運なのでその求人が出たこと、その求人を見つけられたこと、本当に運が良かったと思います。
また通常であれば5週間で職場に退職意思を示して海外に移住するというのは引継ぎ等の時間などを考えるとかなり難しいと思いますが、不幸中の幸いで私は大学院進学に向けて退職する話を元から職場にしていたので若干退職時期が早まっただけで手続きを行えたこともある意味運がよかったです。
とはいえ5週間での退職は退職手続き、それに伴う行政手続き的などいろいろなものがギリギリでしたが。。。
まとめ
人生何があるかわからないもので、私は国連ボランティアに今年行くことになるとは全く計画も予想もしておらず、そういった機会は大学院終了後かなと漠然と思っていました。
一度はスルーした求人をもう一度見たことがきっかけでダメ元で、受かるつもりなく応募したものが思いがけず合格し、その後予想より早い赴任時期を示されて、いろいろな事情から一度はUNVを見送って予定通り今年は大学院に行こうかとも思いました。
内定を受け入れた結果、ものすごく力を入れて計画していた&ずっと会いたかった友人との海外旅行をキャンセルしたり、イギリスビザが無駄になったりと経験や金銭的にも失ったものも多い決断でした。
ただそれにより私は国連機関で、自分が昔から携わりたかったジェンダー×開発事業に携わる機会を得ることができました。
キャリアの8割が本人が予想しない偶発的なことから成り立っている(そしてその偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方を計画的偶発性理論という)という研究がありますが、すごくまとめると私はうまくチャンスを見つけることができ(情報収集&運)それにうまく乗っかることができた(準備できていた&運)のかなと思います。
今後もおそらく全く予期していないときにチャンスが訪れることはあり、それにうまく乗れるように準備(よりレベルアッップした経験や言語 etc.) をしておくことが重要なのではないかと思いました。
fin.